Steely Dan [Aja]
1977年発表のスティーリー・ダン6作目のアルバム。Ajaで[エイジャ]と読む。このグループは結成当初ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーを中核にした6人編成のバンド形態であったが、2人が理想のサウンドを追求していくなかで他メンバーを続々と解雇しスタジオミュージシャンを起用するようになった。そのサウンドの特徴はジャズに根ざしたテンションノートを多用したコードワーク、一切の隙を見せない洗練された高い演奏力、耳なじみのよいメロディ、意味深でシニカルな歌詞、人を食ってかかったようなフェイゲンの歌声、美しいアルバムジャケット...全てが計算され尽くした完成度の高いものであった。
1995年高校生だった僕はバンドでキーボードを演奏していた。ありきたりのハードロックにほとほと飽きておりジャズを聴くようになっていた。ジャズに魅了されてはいたものの、古臭さも同時に感じており、そのとき何気なく聴いたAjaのサウンドに衝撃を受けた。
一聴しただけでは耳あたりのよいイージーリスニングなのだが、繰り返し聴くうちに美しいコード進行とそれを支えるスタジオミュージシャンの高度な演奏力に驚嘆し、ほどなくして中毒になった。歌詞カードのパーソネルクレジットを見ながら、「チャックレイニーのベースはご機嫌だね」「スティーブガッドとウェインショーターのバトル熱すぎ」とひとりごち演奏家を覚えるのが楽しかった。さらに覚えた演奏家がリーダーのアルバムや客演しているアルバムを聴き漁り、自分の音楽の世界が広がっていくのが嬉しくてたまらなかった。スティーリーダンが僕に世界の広がりを教えてくれたと言ってもいい。
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